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ガウィラン・キャンプの鶏舎

アグリ・ビジネスプロジェクトは、クルド自治区の最も町から離れた難民キャンプに、安定した食糧自給の仕組みを提供しています。食糧自給と生計向上プロジェクトの受益者として選定されたシリア難民は、2020年3月に開始されたUNIDOプロジェクトにより卵を収穫し始めています。

各受益者には、25羽の鶏、鶏舎、その他道具類、そして鶏の餌となる植物を栽培するための100平方メートルの区間が提供されました。この鶏は、最盛期には1日約20個の卵を産み、少なくとも2年間は収穫量が落ちないと予想されています。

クルドの新年であるノウルーズに最初の卵が産まれ、生産量も増えてきました。家族の食料自給は安定し、販売し始めた家族もいます。

ガウィラン・キャンプはエルビル市から北西47kmの山間にあります。紛争で荒廃したシリアから逃れてきた住民にとって、その付近で仕事を見つけて生活していくことは困難です。UNIDOは、2018年8月にガウィラン・シリア難民キャンプのニーズ分析を行った際、この場所は人里離れた場所にあるため、最も失業率が高く、雇用機会のニーズが高いと判断しました。

アフリン出身のヤジディ教徒の女性、アズデオン・ザヒダは、このプロジェクトを歓迎しています。ノウルーズの休日に初めて15個の卵を収穫できたのです。「以前は毎日午前10時に起きていましたが、今は朝7時に起きて鶏の世話をしています。子どもたちも鶏が大好きで、鶏小屋に行きたいと、泣くんですよ。」夫婦は、子どもと一緒に1日3回は鶏小屋を訪れるそうです。今のところ、まだ鶏が若く卵が小さいのが唯一の悩みです。卵は6人の子どもたちの食事になっています。「もっと大きな卵が採れたら、売るつもりです」とアズディオンは言います。「とても楽しいです。毎日、小屋に行って鶏を見て、エサをあげるのがとても幸せです。夫は、鶏は自分の子どもみたいだと言っています」と笑いながら話してくれました。

シリア・カミシュリ出身のアイダ・アブド・アルラフマン・ハサンさん(26歳)も、初めて卵を獲って喜んでいました。「鶏の餌となるアルファルファの栽培もすべて自分でやっています」と話します。夫がシリア戦争中にダマスカスで行方不明になり、幼い子ども2人をたった1人で育てています。「卵が獲れるのはうれしいですし、いつかもっと多くの鶏を飼いたい」と話します。「1日に20個の卵が獲れたら、とても良いなと思います。売ってお金を稼ぎたいです。」

カミシュリ出身のハリファ・ハマ・サイードさんは、夫が障害を持っているため、一家の大黒柱です。それまで家族は、近所の人からもらった食料だけで生活していました。今では、家族が必要な量の卵を収穫し、他の人に売ったりあげたりもできるようになりました。

「毎朝、毎晩、鶏の世話をしています。暑いときには氷水もあげます」と彼女は言います。「1日に25個の卵があれば、家族を養うことができますし、売ったり近所の人にあげることもできます。」

「たとえ食べるものがパンだけだったとしても、少なくとも家族が一緒にいられることを神に感謝します。今、子どもたちは学校で勉強できていますし、鶏は卵を産んで、食べるものも増えてきました。全てのことを神に感謝します。」

コバネから来たラミア・ジュルナ・ナサンさん(35歳)は、これまでに5個の卵を収穫し、食料を得られることを喜んでいます。「卵があるのを見ると、とてもうれしいです。毎日、子供たちも一緒にここに来て、卵を見つけるのをとても楽しみにしています。」

「これはプロジェクトの第一段階です」UNIDOのサダール・サミは説明します。「後日、プロジェクトの評価を行い、可能であれば、土地面積と鶏の数を増加できるかもしれません。」

イラクの農業法では、鶏1羽につき1平方メートルの区間が必要とされ、25平方メートルの鶏舎では、25羽を飼うことができます。受益者の中には、卵を食べたり販売するだけでなく、繁殖したいと計画している人もいます。「このプロジェクトが成功し、使える土地を拡大できれば、鶏の繁殖も可能になるでしょう」とサダールは付け加えました。

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